乳腺科とは
乳房に自覚症状があるという方には、乳腺(乳房疾患)に関する全般的な診療を行っていきます。また、これといった自覚症状はないという方には定期的に乳がん検診を行っていく診療科です。
乳房にしこりが触れた、乳房に痛みがある、乳房が張った感じがするなど、乳房に何かしら気になる症状があるという場合は、お一人で悩むことなく、お気軽にご受診ください。
以下のような症状がある方は、ご相談ください(例)
- 乳房にしこりを触れる
- わきの下にしこりを触れる
- 乳房が赤く腫れている
- 乳房が熱をもっている
- 乳房に痛みがある
- 乳房が張った感じがする
- 乳房の皮膚にへこみやひきつれがある
- 乳房に潰瘍ができて治らない
- 腕を上げると痛みが走る
- 腕を上げると乳房にひきつれ感が生じる
- 乳首から分泌液(赤・褐色)が出る
- 乳首にただれが見られる
- 乳がん検診を受けたい
- 健(検)診などで要再検査と言われた
- 乳がん手術等の治療を受けたので経過観察をしてほしい など
乳腺科で取り扱う代表的な疾患(例)
- 乳がん
- 乳腺症
- 線維腺腫
- 乳腺嚢胞
- 乳管内乳頭腫
- 乳腺炎 など
乳がん検診について
乳がんとは、乳房内の乳腺という部分から発生するがんで、日本人女性のがん罹患率第1位となっていて、罹患率は9人に1人の割合(全国がん登録による全国がん罹患データ:2017年)とも言われています。なかでも30~69歳の日本人女性の部位別にみたがんによる死亡原因の第1位が乳がんです。発生の原因については、遺伝的要因、生活習慣、女性ホルモンなど様々な原因があるとされていますが、早期に発見し、治療することができれば、予後は良いと言われています(ステージⅠであれば、5年生存率は9割以上)。
できるだけ早く乳がんを見つけるには、しこりが触れるよりも前に気づくのも大切です。そのためには乳がん検診を定期的に受けられるようにしてください。当クリニックでは乳がん検診のほか、乳がんの疑いがある場合は精密検査(細胞診、組織診)も実施しています。なお当クリニックでの乳がん検診では、視・触診と乳腺エコーを行います。それぞれの内容は以下の通りです。
視診、触診
乳がん検診では、医師が乳房全体を目視することを視診、被検者の乳房を直接手で触れることを触診と言います。これらの検査を行うことで、乳房の形、皮膚、乳頭の異常の有無やしこりの症状がないかなどを確認していきます。乳がん検診にこれまで数多く携わってきた医師であれば、触診によるしこりの有無や状態をチェックすることで、がん発生の有無など、ある程度は推察することができます。
ちなみに乳がんは、ご自身でも発見できるがんでもありますが、小さなしこりの場合は見つけることが困難です。そのため、これといった症状がないという方も30歳を過ぎましたら、年に1回は定期的な乳がん検診(視診・触診)を受けられることをお勧めします。
乳腺エコー(乳房超音波検査)
被検者の方が診察台の上に仰向けになって、乳房に超音波検査装置のプローブ(探触子)を当てて超音波を発信します。それによって乳房内部から返ってくる反射波(エコー)を同装置が捉え、それをコンピュータ解析して画像化することで、乳腺の状態を調べることができる検査が乳腺エコー(超音波検査)です。これは30歳代以下の方に有効とされる検査方法になります。
検査画像では、乳腺は白く、がんは黒く描出されます。検査時に痛みは無く、X線検査のように被曝をすることもないので体への負担もほとんどないので、妊娠中でも検査は可能です。
触診では見つけられない、数㎜程度の小さなしこりを見つけられるようになるほか、その中身を調べることも可能です。
なお、上記の検査以外にも精密検査が必要と医師が判断した場合は、当クリニックと地域連携している総合病院や専門の医療機関をご紹介いたします。
ホルモン治療中の検診について
乳がんの患者様につきましては、とくに乳がん手術後に治療薬として抗エストロゲン薬を使用することがあります。同薬を内服することで乳腺では抗エストロゲン作用(がんの転移や再発が約半分に減少する)がみられるようになるものの、子宮ではエストロゲン作用が働くようになります。そのため、抗エストロゲン薬を用いる乳がん患者様は、同薬を使わない乳がん患者様と比べて、子宮体がんを発症するリスクが2~4倍程度高くなると言われています。そのほかにも子宮内膜ポリープや子宮内膜増殖症にも気をつける必要があります。このことから、抗エストロゲン薬によるホルモン治療を行っている患者様は、子宮がん検診や卵巣がん検診といった婦人科がん検診を1年に1回の間隔で受けられるようにしてください。